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最高裁判例詳細

事件番号 昭和23(れ)101
事件名 強盗、住居侵入
裁判年月日 昭和23年7月14日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 刑集 第2巻8号846頁
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審裁判年月日 昭和22年11月29日
判示事項 一 憲法第三七條第一項の法意と被告人の訴訟上の權利
二 被告人の默秘の權利と裁判所の告知の義務
三 刑訴第四一〇條一三號にいわゆる法律によりいわゆる法律により公判において取調ぶべき證據の意義
四 刑訴第七三條及び第七四條所定の形式に違反した書類の證據能力
五 強盜共謀者のうち實行行爲を分擔しない者の責任
六 牽連犯の一部につき公訴の提起なき場合と審判の範圍
裁判要旨 一 憲法第三七條第一項の規定は偏頗でない公平な組織構成を有する裁判所の迅速な公開裁判を受ける權利を被告人に與えたに過ぎないもので裁判所に對し如何なる刑事被告人に對しても親切にすべての訴訟上の權利を行使する機會を與へるべき義務を負擔せしめた規定ではない。
二 憲法はその第三八條第一項において「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と規定して被告人にいわゆる默秘の權利あることを認めているが所論の如く裁判所に對し訊問の事前にその權利あることを被告人に告知理解せしめ置かねばならぬ手續上の義務を命じていないのである、それ故かような手續を執らないで訊問したからと言つて所論のように被告人の供述を強要し又は裁判手續に違憲ありと言い得ない。
三 刑訴第四一〇條第一三號の「證據の取調」とは例えば同法第三四二條所定の證據のごとくその取調が裁判所の自由裁量に屬せず從つて法律上必ず公判において取調べなければならないような證據の取調を言うものであるから所論の證據については假りにこれが取調をしなかつたからとて同號所定の取調をしなかつた違法ありとはいえない。
四 刑訴第七三條第七四條は書類作成の形式について所論のとおり規定しているが舊刑訴とは異なりその所定の形式に反した書類の無効であることを規定していない。それ故裁判所は書類の作成が所定の形式に反する場合でも諸般の資料によりその眞正に成立したものであることを自由に判斷するを防ぐるものではない。所論被害發見並に追加屆には所論のように年月日の記載なくまた追加屆と強盜被害屆に記載せられている氏名の筆蹟が所論のように他の書類のそれと異なるけれどもこの一事を以つて直ちに右書類を無効と解すべき理由なく却つて右書類の提出者の名下にはいずれも「A」となる同一の印影が押捺されてあるから右書類の成立を認めてこれを證據としたからと言つて違法であるとは云へない。
五 數人共謀して犯罪を實行したときは共謀者の一人が實行行爲を分擔しない場合でもその實行正犯の責を兔れ得ない。
六 原判決の判示並びに擬律によれば原判決は所論の住居侵入の事實をその強盜の事實の手段たる關係にある事實と認めその兩事實につき重き強盜の刑のみに從い一罪として處斷したものであること明白である。そしてかように一罪の一部についてはその部分につき特に公訴の提起がなくとも當然その全部につき審判し得ること言うまでもない。
参照法条 憲法37條1項,憲法38條1項,刑訴應急措置法10條1項,刑訴410條13號,刑訴法73條,刑訴法74條,刑訴法337條,刑法60條,刑法55條