最高裁判例詳細
| 事件番号 | 昭和23(れ)441 |
|---|---|
| 事件名 | 窃盗 |
| 裁判年月日 | 昭和23年8月5日 |
| 法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | 棄却 |
| 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第2巻9号1123頁 |
| 原審裁判所名 | 札幌高等裁判所 |
| 原審裁判年月日 | 昭和22年11月18日 |
| 判示事項 | 一 隣室の未知の他人のレインコートから財布を拔き取つた行爲と窃盜意思の推斷 二 訴訟上の證明の本質 |
| 裁判要旨 | 一 前説示のような事實(被告人が旅館に於て、隣室の未知の客のレインコートのポケツトから現金二六二二圓五〇錢在中の財布を拔き取りこれを隱し持つていたという事實)が原判決舉示の證據によつて肯定せられ得る本件にあつては、被告人は窃盜の意思すなわち領得の意思があつたということが通常人なら誰にも容易に推斷し得られるのであるから、右推斷を覆えすに足る新たな事實が反證せられない限り、判示事實(窃盜の事實)に關する原審の認定は到底動かし得ないところである。 二 元來訴訟上の證明は自然科學者の用いるような實驗に基くいわゆる論理的證明ではなくして、いわゆる歴史的證明である。論理的證明は「眞實」そのものを目標とするに反し、歴史的證明は「眞實」の高度な蓋然性をもつて滿足する。言いかえれば通常人なら誰でも疑を差挾まない程度に眞實らしいとの確信を得ることで證明ができたとするものである。だから論理的證明に對しては當時の科學の水準においては反證というものを容れる餘地は存在し得ないが歴史的證明である訴訟上の證明に關しては通常反證の餘地が殘されている。 |
| 参照法条 | 刑法235條,刑訴法336條 |