| 裁判要旨 |
原判決は、被告人に對する檢事の聽取書中の同人の供述記載の中、判示第一の二の乗用自動車に關する部分を省略して摘示しているのであるが、判示第一の一のダツトサンの賣却周旋の事實と、第一の二の乗用自動車の運搬の事實とは別個獨立の事實であつて、而も右檢事の聽取書に依れば、被告人はこの兩者の場合とも、Aは眞夜中に車を持つてきたり、車のある所へ被告人を連れていつたりして而も賣主の名前も云わず、賣値も云わなかつたのであるから被告人としては怪しい物である事を感ずかねばならぬ筋合で、殊にダツトサンの場合は車の前の碍子に、判示の組合の名が書いてあることをAが車を持つてきた折氣付いたので、それが同人の物でないことは判つていたというのであるから、原判決が右被告人の檢事に對する供述記載の中判示第一の二に關する部分を省略して摘録しても證據の趣旨に反して被告人の供述記載を引用したとの非難は當らない。そうして又右の「怪しい物である事を感ずかねばならぬ筋合であります」とある部分は必ずしも他人の想像を述べた趣旨のものと解すべき理由はなく、被告人も感ずいて居たという意味をふくむものと解し得るからこの點の論旨も理由がない。 |