最高裁判例詳細
| 事件番号 | 昭和25(あ)292 |
|---|---|
| 事件名 | 尊属傷害致死 |
| 裁判年月日 | 昭和25年10月11日 |
| 法廷名 | 最高裁判所大法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | 破棄差戻 |
| 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第4巻10号2037頁 |
| 原審裁判所名 | 福岡地方裁判所 飯塚支部 |
| 原審裁判年月日 | 昭和25年1月9日 |
| 判示事項 | 一 刑法第二〇五条第二項の尊属傷害致死の規定は憲法第一四条に違反するか 二 憲法第一四条にいわゆる「法の下における平等」の意義と刑法における尊属殺人等の規定 |
| 裁判要旨 | 一 刑法第二〇五条第二項の規定は、新憲法実施後の今日においても、厳としてその効力を存続するものというべく、従つて本件において原審が被告人の尊属致死の所為を認定しながら、これに同法条の適用を拒定し、一般傷害致死に関する同法第二〇五条第一項を擬律処断したことは、憲法第一四条第一項の解釈を誤り、当然に適用すべき刑事法条を適用しなかつた違法があることに帰し本件上告はその理由があるのである。 二 おもうに憲法第一条が法の下における国民平等の原則を宣明し、すべて国民が人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会関係上差別的な取扱を受けない旨を規定したのは、人格の価値がすべての人間について同等であり、従つて人種、宗教、男女の性職業、社会的身分等の差異にもとずいて、あるいは特権を有し、あるいは特別に不利益な待遇を与えられてはならぬという大原則を示したものに外ならない。奴隷制や貴族等の特権が認められず、又新民法において妻の無能力制、戸主の特権的地位が廃止せられたごときは畢竟するにこの原則に基くものである。しかしながら、このことは法が、国民の基本的平等の原則の範囲内において、各人の年齢、自然的素質、職業、人と人との間の特別の関係等の各事情を考慮して、道徳正義、合目的性等の要請より適当な具体的規定をすることを妨げるものではない。刑法において尊属親に対する殺人、傷害致死等が一般の場合に比して重く罰せられているのは、法が子の親に対する道徳的義務をとくに重要視したものであり、これ道徳の要請にもとずく法にある具体的規定に外ならないのである。 |
| 参照法条 | 憲法14条,刑法205条2項,刑法200条 |