最高裁判例詳細
| 事件番号 | 昭和23(れ)800 |
|---|---|
| 事件名 | 物価統制令違反 |
| 裁判年月日 | 昭和25年10月11日 |
| 法廷名 | 最高裁判所大法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | 棄却 |
| 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第4巻10号1972頁 |
| 原審裁判所名 | 長野地方裁判所 |
| 原審裁判年月日 | 昭和23年4月30日 |
| 判示事項 | 一 物価統制令は限特法である 二 統制額を指定した行政官庁の告示の廃止は「刑の廃止」となるか 三 原審訴訟手続に違法があるとの事由は適法な飛躍上の告理由となるか |
| 裁判要旨 | 一 物価統制令は、その第一条に規定するごとく「終戦後ノ事態ニ対処シ物価ノ安定確保シ以テ社会経済秩序ヲ維持シ国民生活ノ安定ヲ図ルヲ以テ目的トス」るものであつて、終戦後という一時的異常な時態に対処するための法規であつて、かかる異常な社会状勢が終熄して経済事態が常態に復したときは、早晩廃止さるべき運命にある法規であることは、同条の規定するところによつて明らかである。即ち、いわゆる限時法性格を具有する法規である。 二 物価統制令自体の問題でなく、これにもとずく行政官庁の告示の廃止の場合のごときは、ある特定の品目に対する統制額廃止の結果として、統制違反の行為が必然的に罪とならなくなるというに過ぎないのであつて、かかる法規違反の行為を以て自今これを罪とせず、若しくは処罰せずとの法的確信にもとずいて、「刑ノ廃止」が行われるのではないのである。旧事情下においては反社会性を有つものとせられたその違反行為の可罰性に関する価値判断は告示廃止の後においても依然として異るところはないのである。 三 本件は旧刑訴法第四一六条第一号によつて、第一審判決に対し、上告の申立(いわゆる飛躍上告)をしたものであるが、同条同号によれば「被告事件ノ事実ニ付法令ヲ適用セズ又ハ不当ニ法令ヲ適用シタルコトヲ理由トスルトキ」すなわち原判決の事実の確定について争わず、その確定された事実に対する擬律上の違法を主張するときに限り、上告をすることができるのである。しかるに、論旨は原判決は、公判において為した証拠調の請求に対して決定をしなかつた違法があるというのであつて、畢竟、原判決の事実確定の手続に関して違法があると主張するに帰し原判決によつて確定された事実に対する法規適用上の違法を主張するものでない、から飛躍上告適法の理由とすることはできない。 |
| 参照法条 | 物価統制令1条(昭22・4・勅令133号改正前のもの),旧刑訴法363条2号,旧刑訴法416条1号 |