| 裁判要旨 |
原審に対して弁護人の控訴趣意書の外に被告人本人の控訴趣旨書が提出されたこと及原判決に被告人本人の上告趣意を記載した書面の添附なく、其他右上告趣意に対して特に判断した趣旨の記載のないことは所論の通りである。しかして原審公判調書によると被告人本人の上告趣意書については陳述されて居ないことがわかるので、原審がこれについて特に判断を記さなかつたのはその為めであるかも知れない、しかし控訴趣意書が提出されてある以上、その陳述があると否とに拘わらずこれに対する判断をしなければならないこと勿論であるから原審の右措置は形式上一つの缺陥たるを免れない、しかし右被告人本人の控訴趣意書を読んで見るとその趣意は弁護人の控訴趣意書と同じく量刑不当の主張に過ぎないもので、内容も殆んど同様であり、原判決に書いてある様に「弁護人の所論に鑑み諸般の情状を考察」して判断すればおのずから被告人の控訴趣旨についても判断されたことになるのである。従つて実質的には被告人本人の控訴趣旨についても判断があつたことになり缺陥はなかつたものともいえる。それ故前記形式的缺陥の為め原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとすることはできない。 |