最高裁判例詳細
| 事件番号 | 昭和25(れ)1118 |
|---|---|
| 事件名 | 昭和二二年政令第一六五号違反 |
| 裁判年月日 | 昭和25年10月26日 |
| 法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | 棄却 |
| 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第4巻10号2194頁 |
| 原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
| 原審裁判年月日 | 昭和25年4月18日 |
| 判示事項 | 一 物に対する所持と所持についての意識の存続の要否 二 物の所持の継続中にその物の所持禁止法規が施行せられた場合にその施行後継続せる所持に対する処罰の能否 三 占領軍物資を既に消費して盡してしまつたと信じていた場合と不法所持罪の成立 |
| 裁判要旨 | 一 物の所持とは人がその実力支配下に物を保管する行為をいうのであるから、人が物を保管する意思をもつてこれに適応する実力支配関係を多少の時間継続して実現する行為をすれば、それによつて物の所持は成立するのである。そして一旦成立した所持が爾後存続するためには、その所持人が常にその物を所持することを意識している必要はないのであつて、苛しくもその人とその物との間にこれを保管する実力支配関係が持続されていることを客観的に示めすに足るその人の容態さえあれば、所持はなお存続するものといわなければならない。蓋しもし所持存続のために所持意識の存続が必要であるとすれば、人がその財産を自宅に蔵置している場合においても、その人がその蔵置の事実を失念したというだけのことでその人はその財物の所持を喪失するという、到底是認することのできない結論に到達するからである(なおれ、昭和二二年第九五六号同二四年五月一八日大法廷判決参照) 二 或る物の所持の継続中新たにその物の所持を禁止する刑罰法規が施行せられた場合、その施行後依然継続せられる所持に対して、法令上特にその適用を除外する明文の存しない限り、その新法規の適用せらるべきにはむしろ当然である。論旨は、かゝる場合新法規施行前に入手した物の所持につきその届出等に関し特別の規定を設けなければ新法規を以てこれを取締ることはできないと主張する。しかし、立法の妥当性の問題としては格別、法令の効力上の問題としては到底賛同し得ないところである。 三 被告人は占領軍の物資であるミルクを昭和二二年七月頃買受けて所持し、自宅にこれを蔵置して、同二三年二月二五日頃に及んだというであり、しかもその所持が違法たることは論旨第一点に対し説明した通りであるから、仮りにその間被告人において既にミルクが消費されたものと信じていたものとしても、この一事により一旦成立した不法所持罪の存続を否定し得るものではない。 |
| 参照法条 | 昭和22年政令165号1条 |