最高裁判例詳細
| 事件番号 | 平成28(あ)1549 |
|---|---|
| 事件名 | 保護責任者遺棄致死(予備的訴因重過失致死)被告事件 |
| 裁判年月日 | 平成30年3月19日 |
| 法廷名 | 最高裁判所第二小法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | 破棄自判 |
| 判例集等巻・号・頁 | 刑集 第72巻1号1頁 |
| 原審裁判所名 | 大阪高等裁判所 |
| 原審事件番号 | 平成28(う)27 |
| 原審裁判年月日 | 平成28年9月28日 |
| 判示事項 | 1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為の意義 2 子に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例 3 裁判員の参加する合議体で審理された保護責任者遺棄致死被告事件について,訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務がないとされた事例 |
| 裁判要旨 | 1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為は,老年者,幼年者,身体障害者又は病者につきその生存のために特定の保護行為を必要とする状況(要保護状況)が存在することを前提として,その者の生存に必要な保護行為として行うことが刑法上期待される特定の行為をしなかったことを意味する。 2 低栄養に基づく衰弱により死亡した被告人の子(当時3歳)に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人において,乳児重症型先天性ミオパチーにり患している等の子の特性に鑑みると,子が一定の保護行為を必要とする状態にあることを認識していたとするには合理的疑いがあるとして被告人を無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決は,第1審判決の評価が不合理であるとする説得的な論拠を示しているとはいい難く,第1審判決とは別の見方もあり得ることを示したにとどまっていて,第1審判決が論理則,経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものとはいえず(判文参照),刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり,同法411条1号により破棄を免れない。 3 保護責任者遺棄致死罪として起訴されて公判前整理手続に付され,検察官が,公判前整理手続期日において,公判審理の進行によっては過失致死罪又は重過失致死罪の訴因を追加する可能性があると釈明をするなどした後,裁判員の参加する合議体により審理が行われ,第1審裁判所の裁判長が,証拠調べ終了後の公判期日において,検察官に対して訴因変更の予定の有無につき釈明を求めたところ,検察官がその予定はない旨答えたなどの訴訟経緯,本件事案の性質・内容等(判文参照)に照らすと,第1審裁判所としては,検察官に対して,上記のような求釈明によって事実上訴因変更を促したことによりその訴訟法上の義務を尽くしたものというべきであり,更に進んで,検察官に対し,訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務を有するものではない。 |
| 参照法条 | (1から3につき) 刑法218条,刑法219条 (2につき) 刑訴法382条,刑訴法411条1号 (3につき) 刑訴法312条,刑訴規則208条 |