最高裁判例詳細
| 事件番号 | 平成29(受)442 |
|---|---|
| 事件名 | 地位確認等請求事件 |
| 裁判年月日 | 平成30年6月1日 |
| 法廷名 | 最高裁判所第二小法廷 |
| 裁判種別 | 判決 |
| 結果 | その他 |
| 判例集等巻・号・頁 | 民集 第72巻2号202頁 |
| 原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
| 原審事件番号 | 平成28(ネ)2993 |
| 原審裁判年月日 | 平成28年11月2日 |
| 判示事項 | 1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることと労働契約法20条にいう「その他の事情」 2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かについての判断の方法 3 無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で定年退職後に再雇用された有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例 |
| 裁判要旨 | 1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは,当該有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かの判断において,労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情に当たる。 2 有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきである。 3 乗務員である無期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給する一方で,定年退職後に再雇用された乗務員である有期契約労働者に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,両者の職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である場合であっても,次の⑴~⑹など判示の事情の下においては,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。 ⑴ 有期契約労働者に支給される基本賃金の額は,当該有期契約労働者の定年退職時における基本給の額を上回っている。 ⑵ 有期契約労働者に支給される歩合給及び無期契約労働者に支給される能率給の額は,いずれもその乗務するバラセメントタンク車の種類に応じた係数を月稼働額に乗ずる方法によって計算するものとされ,歩合給に係る係数は,能率給に係る係数の約2倍から約3倍に設定されている。 ⑶ 団体交渉を経て,有期契約労働者の基本賃金が増額され,歩合給に係る係数の一部が有期契約労働者に有利に変更されている。 ⑷ 有期契約労働者の賃金体系は,乗務するバラセメントタンク車の種類に応じて額が定められる職務給を支給しない代わりに,前記⑴により収入の安定に配慮するとともに,前記⑵により労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫されたものである。 ⑸ 有期契約労働者に支給された基本賃金及び歩合給を合計した金額並びに当該有期契約労働者の賃金に関する労働条件が無期契約労働者と同じであるとした場合に支払われることとなる基本給,能率給及び職務給を合計した金額を計算すると,前者の金額は後者の金額より少ないが,その差は約2%から約12%にとどまる。 ⑹ 有期契約労働者は,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができる上,その報酬比例部分の支給が開始されるまでの間,調整給の支給を受けることができる。 |
| 参照法条 | 労働契約法20条 |